車両
2024.07.22更新
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400系/2023.10.25-学研奈良登美ヶ丘

400系/2023.12.20-谷町四丁目

概 要

 大阪市高速電気軌道400系車両は、2023(令和4)年6月25日から中央線で営業を開始した車両で、大阪・関西万博開催に向けて中央線の従来車(20系・24系)を置き換えるために投入された。2024(令和6)年5月23日には2024年ローレル賞を受賞した。(60系・70系に続く受賞)

第04編成

 2021(令和3)年12月9日に中央線への400系の投入が発表された。民営化後初の新形式となり、チーフデザインオフィサーのもとデザインを決定、宇宙船のような斬新なデザインが話題を呼んだ。開発当初は40000系としていたが、この形式から桁数を減らした400系とした。車両番号も地下鉄車両では初めてハイフンで区切る形を採用、車種記号の法則も一部変更となっているが、車両番号の付番方法は大阪市交通局時代を踏襲している。前3桁の百の位はシリーズ連番、十の位は使用線区、一の位は車両形式を表す。この形式で初めて車両番号の使用線区部分が「0」となっている。従来の法則では中央線を意味する「4」となるべきだが、単独路線で使用する場合は「0」を使用するという法則が追加となり、中央線に特化した形式である400系では「0」を使用した。ハイフン後の2桁は編成番号を表している。

 これまでの形式では1編成内でA編成・B編成の区分(6両編成の形式では2両・4両)を分割できるようにしていたが、現在の設備では分割して作業を行う必要がないため、中間車の401形と408形の間には簡易運転台は設けられず、連結器も半永久連結器となっている。

 2022(令和4)年10月27日に第01編成の第1陣が緑木に搬入され、営業運転に向けた調整が行われた。当初は2023年4月の営業運転開始予定と公表されていたが、機器調整に時間を要したため後ろにずれ込んだ。2023(令和5)年6月24日に森ノ宮駅で出発式が行われ、翌日の25日運番10から営業運転を開始、現在は6両編成15本の80両が中央線・相互直通運転をしている近鉄けいはんな線で活躍している。今後も製造が進められ、2025(令和7)年4月までに全23編成が投入される予定となっている。

大阪に到着した第01編成

大阪に到着した第01編成

緑木に搬入される第01編成

緑木に搬入される第01編成

深夜試運転に向けて通電中

深夜試運転に向けて通電中

近鉄線内での誘導障害試験

近鉄線内での誘導障害試験

中央線における習熟運転

中央線における習熟運転

過渡期の

車両置き換え過渡期の森之宮検車場

外 観

前頭部

 車体は80系以来となるアルミ製で、トラス状断面アルミダブルスキン構造を採用して強度を向上させ、摩擦攪拌接合により構体結合を行うことで歪が少なく丈夫な車体となっている。先頭車の前頭部は美しい曲線が製作できる三次元削り出し加工で製作されている。

 2025(令和7)年の大阪・関西万博に向け、中央線を「活力インフラ」の舞台・夢洲に繋がる未来への路線と位置づけ、前面形状をガラス張りの展望形状とし、宇宙船を意識させる魅力的・未来的なデザインを採用した。工業デザイナーの奥山清行氏がOsakaMetroのチーフデザインオフィサー(CDO、2023(令和5)2月10日付で辞任)に就任してデザインを監修している。

 前頭部は左右対称のデザインとし、貫通扉を左側に配している。前照灯・尾灯を四隅に配置し、前照灯はOsakaMetro車では初の白色LEDとなった。前面のガラス面積を大きく取り、車内からの展望性を向上と運転台からの視認性向上を図っている。

 側面は可動式ホーム柵時代の乗降口を明確化させる配色となっており、車内設備により配色を変えることで装備が一目でわかるデザインとしている。一般部には中央線の路線カラーである緑色、優先座席部と車椅子・ベビーカースペースは青色、クロスシート部は灰色とし、優先座席・車椅子ベビーカースペース・クロスシート部にはピクトブラムも併せて表示している。連結面転落防止装置は、中央線内では可動式ホーム柵設置に伴い不要であるが、近鉄線内では引き続き必要で、駅停車中はホームセンサーの柵により基本的には不要となるため、最低限なものとして一般的なゴム製の小型のものに変更されている。

32600A形側面

406形側面

32100A形側面

401形側面

32800A形側面

408形側面

連結面転落防止装置

連結面転落防止装置

天井高機器室部は窓なし

天井高機器室部は窓なし

簡易運転台は省略

簡易運転台は省略

製造銘板

製造銘板

連結器は緑木型

連結器は緑木型

側面肩車号表記

側面肩車号表記

車 内

車内(ロングシート車)

 車内は天井を落ち着いた配色、壁面と床面をより明るいものとし、機能に応じた多色使いの座席と相まってモダンな空間を演出している。車内のつり広告を廃止したことで、透明な座席袖仕切りと大型ガラス使用の貫通扉と合わせ、開放感のある車内となっている。座席は408形のみ地下鉄車両初のクロスシート、その他はロングシートとなっている。第14編成以降は座席モケットの材質が抗ウイルス性を向上させたものに変更されている。

 ロングシート車は扉間5人掛け、車端部3人掛けで1人あたり470mmは30000A系と同じである。座席色は路線カラーの緑系統、優先座席は青系統として1人分ごとに配色を変えて定員着座の促進を図り、背ずり高さを30000系シリーズから50mm高くすることで乗り心地の向上を図っている。31系・30000A系同様、座席をどちらか一方へ160mm移動させることにより、扉横に500mmの「ゆとりスペース」を確保した。

 1編成に1両だけのクロスシート車は、旅客の利便性や多様なニーズに対応できるように採用され、目的地に向かって移動するワクワク感やパーソナルスペースの確保による安心感の提供を図っている。扉間に1人掛けシートを3列配置、車端部はロングシート車と同様となっている。クロスシート部の座席色は灰系統として、座席は固定式となっている。扉横の「ゆとりスペース」は確保されていない。2人掛けのクロスシートも検討されたが、地下鉄では短距離利用が多く窓側に座った人が乗り降りしにくいことから1人掛けとしている。座席の転換式採用も検討されたが、扉間に設置できる座席数が2列になってしまうことから3列固定式とした。

 各車ロングシート部の座席中央には縦手すりを設置、座席袖仕切りは大型で透明なものを採用しているところは30000系から受け継いでいる。30000A系と同様に荷棚は高さを全車両で20系より100mm低くして幅広い方々に利用しやすく配慮、また扉横に立っている旅客が急ブレーキ等でふらつき頭部とぶつかることを防止するために荷棚端部を縮小している。つり革は形状を丸型から三角型に変更され扉部及び枕木方向にも設置し、優先座席部はオレンジ色のつり革としている。車椅子・ベビーカースペースは中間車は車端部に設置、先頭車は車端部に機器室設置のために扉間に設置されている。車内照明はLED式で昼白色の1色のみである。車内案内表示装置は30000A系の17インチワイドLCDから21.5インチワイドLCDへ大型化され、1ヶ所につき2台を全扉配置として4か国語(日本語・英語・中国語・韓国/朝鮮語)の案内に対応した。8ヶ所のうち4ヶ所の片側はニュース・天気予報や広告を放映している。車内Wi-Fiも整備済みで、空気浄化装置は30000A系同様のナノイーXを採用している。車内の防犯カメラは設置箇所が変更されており、30000A系では1車両のうち2台は妻面・2台は扉上だったが、400系では全て扉上への設置になっている。運転台では計器類がLCDとなった他、30000A系同様に車両側方監視用モニタ設置に伴いカーテン式の日除けを採用、加えて400系ではレールからの照り返しを考慮して下部にもカーテン式日除けが設置されている。

 先頭車の車端部には機器設置スペース確保のため、天井高機器室・腰高機器室を設置している。腰高機器室上は「ユーティリティスペース」として、多様化する旅客のニーズに対応できるようUSB Type-Aコンセントを配備したカウンターを設置。これは荷物置きスペースや簡易作業スペース、コミュニティスペースとしての利用を想定したものとなっている。電源コネクタはコンセントやUSB Type-Cも検討されたが、コンセントは海外からの旅客だと規格が異なる場合があるため見送り、一般的に流通していて汎用性が高いType-Aが採用となった。

 空調装置には学習・予測制御を導入。日常走行における車内温度・外気温や乗車率などの情報を収集・活用し、常時快適な車内環境を提供できるよう、予測を立てて空調を制御できるようになっている。

 戸閉装置では80系試作車で長期試験を行ってきた電気式を採用した。安全性を考慮して無通電状態でも閉扉状態を維持できるように電磁ロック装置を設けている。扉開閉時に戸挟み・戸袋引き込みを検知すると自動で開閉力を弱め、荷物等の引き抜きやすいようになっている。

 先頭車の運客仕切は一部編成で窓の大きさが異なっている。第01~07編成では従来車と同じで、第08編成以降は運客仕切開戸の窓が足元まで大型化され、運転台背面の窓も若干大きくなっている。これはデザイン検討段階では全面ガラスのものだったものを構造的な問題から窓の大きさを変更、しかしデザイナーからやはりガラスを大型化してほしいとの意見が出たため、再度変更したという経緯がある。第01編成を使用した報道公開の際には、6号車(406-01号車)の運客仕切開戸に試作品を取り付けていた。第01~07編成についても後に大型窓の仕切開戸に変更される予定となっている。

車内(クロスシート車)

車内(クロスシート車)

座席(ロングシート)

座席(ロングシート)

座席(クロスシート)

座席(クロスシート)

優先座席

優先座席

車椅子・ベビーカースペース(中間車)

車椅子・ベビーカースペース(中間車)

車椅子・ベビーカースペース(先頭車)

車椅子・ベビーカースペース(先頭車)

腰高機器室・ユーティリティスペース

腰高機器室・ユーティリティスペース

天井高機器室

天井高機器室

旅客案内表示装置

旅客案内表示装置

つり革

つり革

乗降扉

乗降扉

車内妻側

車内妻側

運客仕切(第01~07編成)

運客仕切(第01~07編成)

運客仕切(第08編成~)

運客仕切(第08編成~)

床敷物

床敷物

照明

照明

空気浄化装置はナノイーX

空気浄化装置はナノイーX

防犯カメラ

防犯カメラ

台 車

台車(集電装置付き)

 台車は30000A系同様のボルスタレス台車WS-400を使用している。モノリンク式軸箱支持装置、Zリンク式けん引方式を採用し、従来のインダイレクトマウント式台車と比較して曲線通過性能を向上させ、高速走行の安定性も有した台車となっている。

台車(集電装置なし)

台車(集電装置なし)

行先表示器

登場時

登場時

 400系は前面・側面ともにフルカラーLEDとなっている。

登場時

-現行-
1
2 コスモスクエア[C10]

Cosmosquare
3 大阪港[C11]

Osakako
4 阿波座[C15]

Awaza
5 谷町四丁目[C18]

Tanimachi 4-chome
6 森ノ宮[C19]

Morinomiya
7 長田[C23]

Nagata
8 新石切[C26]

Shin-Ishikiri
9 生駒[C27]

Ikoma
10 学研奈良登美ヶ丘[C30]

Gakken-Nara-Tomigaoka
11
12
13 回送

Out of service
14 試運転

Out of service
15 臨時

Extra
16

主要諸元表

形式 406 401 408 403 402 409
車種 Tc1 Mb1 T2 Mb2 M3 Tc2
車体構造 アルミ アルミ アルミ アルミ アルミ アルミ
自重〔t〕 31.4 34.8 24.8 33.6 33.9 31.4
定員(座席定員)〔人〕 125(27) 139(39) 140(27) 139(39) 139(39) 125(27)
車体長〔mm〕 18,900 18,700 18,700 18,700 18,700 18,900
車体幅〔mm〕 2,880 2,878 2,878 2,878 2,878 2,880
車体高〔mm〕 3,745 3,745 3,745 3,745 3,745 3,745
制御方式 IGBT素子VVVFインバータ制御
制御装置
VFI-HR2415M <日立IGBT>

01~23
主電動機

●:EFO-K60(日立)

  140kw 4個/両
駆動方式

●:WN駆動

  歯車比 99:16
連結装置

●:緑木型密着

○:半永久
低圧電源装置

●:SVI-H118A
空気圧縮機

●:URC1200SD-I
集電装置

▼:TC-27A

  第三軌条上面接触式
制動装置 FBC 電気指令式電磁直通空気ブレーキ

(回生ブレーキ・抑速ブレーキ・保安ブレーキ・応荷重装置付)
台車形式 WS-400(M車:SS-191M、T車:SS-191T)
最高速度 OM線内:70km/h 近鉄線内:95km/h
加速度 OM線内:3.0km/h/s 近鉄線内:3.0km/h/s
減速度 3.5km/h/s(常用最大) 4.5km/h/s(非常)
集電方式 / 電圧 第三軌条集電方式 / 直流750V
走行路線 大阪市高速電気軌道中央線(コスモスクエア~長田)

近畿日本鉄道けいはんな線(長田~学研奈良登美ヶ丘)
配置 森之宮検車場

車両履歴表

編成表

〔←コスモスクエア 学研奈良登美ヶ丘→〕

竣工日 製造所 営業運転開始日 備 考
406-01=401-01=408-01=403-01=402-01=409-01 2022.11.-- 日立 2023.06.25
406-02=401-02=408-02=403-02=402-02=409-02 2023.03.09 日立 2023.07.03
406-03=401-03=408-03=403-03=402-03=409-03 2023.04.13 日立 2023.07.10
406-04=401-04=408-04=403-04=402-04=409-04 2023.05.26 日立 2023.07.18
406-05=401-05=408-05=403-05=402-05=409-05 2023.06.22 日立 2023.08.09
406-06=401-06=408-06=403-06=402-06=409-06 2023.07.24 日立 2023.08.21
406-07=401-07=408-07=403-07=402-07=409-07 2023.08.21 日立 2023.08.30
406-08=401-08=408-08=403-08=402-08=409-08 2023.09.21 日立 2023.10.13
406-09=401-09=408-09=403-09=402-09=409-09 2023.11.27 日立 2023.12.18
406-10=401-10=408-10=403-10=402-10=409-10 2023.12.20 日立 2024.01.04
406-11=401-11=408-11=403-11=402-11=409-11 2024.01.25 日立 2024.02.14
406-12=401-12=408-12=403-12=402-12=409-12 2024.02.15 日立 2024.03.01
406-13=401-13=408-13=403-13=402-13=409-13 2024.04.30 日立 2024.05.24
406-14=401-14=408-14=403-14=402-14=409-14 2024.05.16 日立 2024.06.10
406-15=401-15=408-15=403-15=402-15=409-15 2024.06.21 日立 2024.07.05
406-16=401-16=408-16=403-16=402-16=409-16 日立
406-17=401-17=408-17=403-17=402-17=409-17 日立
406-18=401-18=408-18=403-18=402-18=409-18 日立
406-19=401-19=408-19=403-19=402-19=409-19 日立
406-20=401-20=408-20=403-20=402-20=409-20 日立
406-21=401-21=408-21=403-21=402-21=409-21 日立
406-22=401-22=408-22=403-22=402-22=409-22 日立
406-23=401-23=408-23=403-23=402-23=409-23 日立