車両
2024.03.17更新
車両履歴表を更新しました。(可動式ホーム柵対応化・ATO・TASC化改造の状況)

32系/2013.09.21-阿倍野

32系/2013.10.06-八尾車庫

概 要

32系初期車

 大阪市高速電気軌道(大阪市交通局)32系車両は、2008(平成20)年から2013(平成25)年にかけて谷町線に投入された30000系車両である。

 老朽化が進んでいた新30系置き換えのために投入され、2008(平成20)年に試作車となる第01編成の試作車が登場。谷町線・中央線で各種試験を行ったのち、2009(平成21)年3月15日に中央線コスモスクエア~森ノ宮間で試乗会を行い、03月18日から営業運転を開始した。

 2010(平成22)年からは改良を加えた量産車が登場。試作車も量産車に準ずる改造が行われている。2013(平成25)年に最終の第13編成が営業運転を開始し、新30系の置き換えが完了した。

 現在、6両編成13本の78両が谷町線で活躍している。

第13編成の竣工試運転

第13編成の竣工試運転

乗務員教習中の一コマ

乗務員教習中の一コマ

交通局110周年目玉列車

交通局110周年目玉列車

四つ橋線を走行する32系

四つ橋線を走行する32系

第03編成

第03編成

32系と22系

32系と22系

外 観

前頭部

 車体は軽量ステンレスが使用されている。行先表示器については側面は70系以来、前面は初のLEDとなっている。なお側面は3色LED、前面はフルカラーLEDが採用されている(第01編成の登場から量産車化改造までは前面も3色LED)。

 車体側面は、レーザー溶接工法を採用したビートラインを無くし、1枚窓を採用したこともあって新20系に比べると非常にスッキリとしている。外板厚さを新20系から0.5mm厚い2mmとして強度を向上させている。帯は新20系と比べると太くなっており、薄い号線カラーを交えた新しいデザインになっている。将来の可動式ホーム柵導入に備えて上部にも帯が配されており、上部と腰部の帯をつなぐ形で新たに縦方向にも帯を配して「ラダーデザイン」とし、そこに号車番号がデザインとして取り入れられている。なお上部の帯は32系では紫1色(31系は赤・白の2色)、車側灯カバーは32系では赤色(31系は透明)となっている。

 試作車と量産車で、腰部帯と窓の間のステンレス継ぎ目部分の処理が異なっており、試作車のみゴムで埋める処理が行われ、量産車ではこの処理が行われていない。

 車体前頭部は、丸みを帯びた柔らかいデザインとなっている。新20系では貫通口を車掌室いっぱいに寄せていたが、30000系では若干中央に寄った形となっている。窓周辺は黒色を配してブラックフェイスを継承、腰部にはラインカラーが配されている。また31系と32系では、下部のラインカラーのデザインなどが異なっている。前照灯と尾灯は上部両端に設置されており、10系や20系を思わせるような印象である。

32900形側面

32900形側面

32200形側面

32200形側面

車側灯

車側灯

試作車側面継ぎ目部(新造時)

試作車側面継ぎ目部(新造時)

量産車側面継ぎ目部

量産車側面継ぎ目部

VVVFインバータ装置

VVVFインバータ装置

簡易運転台部分

簡易運転台部分

前面腰部

前面腰部

車 内

車内

 車内は次世代車両としてバリアフリー化・安全性向上など、社会のニーズに最大限応えるデザインとした。座席は1人あたりのスペースを440mmから470mmに広げたバケットシートを採用、座席中央部にも縦手すりが設置されている。座席色は32系では橙色となっている。1人あたりのスペースを拡大したため扉間は5人掛け、車端部は変わらず3人掛けである。座席袖切り部は安全性向上の観点から仕切り棒を面状とし、第01~04編成は灰色1段、第05~07編成は茶色1段、第08~13編成が茶色2段となっている。22系では設置されていた側窓カーテンは省略となっているが、カーテンレールは設けている(第01~04編成は金具を引っ掛ける方式、第05~13編成はフリーストップ方式)。扉横の手すりは第05編成以降から下方向にも拡大している。つり革は座席部のみでなく扉部にも設置され、第08編成以降からは枕木方向にもつり革が増設された。車内蛍光灯は火災対策のためグローブが省略されている。化粧板は32系はクリーム系の色で暖かさをもたせ、乗降扉鴨居部は第01~04編成と第05~13編成で異なっている。車内案内表示装置は大阪市では初めて液晶ディスプレイ(LCD)を採用、千鳥配置で設置され、4か国語(日本語・英語・中国語・韓国語)の案内に対応している。32系では交通電業社製の4:3の画面幅の15インチディスプレイを採用している。その他、運転台の日除けが第01~04編成は青色透明アクリル製、第05~13編成は不透明FRP製となっていたが、のちに第01~04編成も不透明FRP製に交換されている。

座席(袖仕切り1段)

座席(袖仕切り1段)

座席(袖仕切り2段)

座席(袖仕切り2段)

優先座席

優先座席

袖仕切り1段灰色(第01~04編成)

袖仕切り1段灰色(第01~04編成)

袖仕切り1段茶色(第05~07編成)

袖仕切り1段茶色(第05~07編成)

袖仕切り2段茶色(第08~13編成)

袖仕切り2段茶色(第08~13編成)

車椅子スペース

車椅子スペース

扉開閉予告灯(第01編成)

扉開閉予告灯(第01編成)

扉開閉予告灯(第02編成以降)

扉開閉予告灯(第02編成以降)

乗降扉鴨居部化粧板(第01~04編成)

乗降扉鴨居部化粧板(第01~04編成)

乗降扉鴨居部化粧板(第05~13編成)

乗降扉鴨居部化粧板(第05~13編成)

扉開閉案内装置

扉開閉案内装置

車内案内表示装置

車内案内表示装置

乗降扉横手すり(第01~04編成)

乗降扉横手すり(第01~04編成)

乗降扉横手すり(第05~13編成)

乗降扉横手すり(第05~13編成)

扉付近枕木方向つり革未設置(第01~07編成)

扉付近枕木方向つり革未設置(第01~07編成)

扉付近枕木方向つり革設置(第08~13編成)

扉付近枕木方向つり革設置(第08~13編成)

乗降扉

乗降扉

車内妻側

車内妻側

運客仕切

運客仕切

床敷物

床敷物

改 造

量産車化改造 【2010(平成22)年】

試作車

 試作車の第01編成は量産車登場後にそれに準ずる改造が行われた。試作車では車内台車上部に従来設置していた作業用揚げ蓋を、床腐食の防止・製作の合理化・見付けの向上等を考慮して廃止していた。ただし床敷物の下には従来と同様の機構を設けており、非常時に床敷物を切り欠けば使用できる状態であったが、量産車では露出化となったため準ずる改造が行われている。

【主な改造内容】

盲導鈴機能追加 【2012(平成24)~2013(平成25)年】

 第04編成から導入された扉開時の盲導鈴機能を、第01~03編成にも追加する改造が行われた。第04編成についても鳴動間隔を7秒から4秒に変更する改良を2012(平成24)年11月に行った。

可動式ホーム柵対応化・ATO/TASC設置改造 【2023(令和5)年~】

改造された第09編成

 谷町線への可動式ホーム柵の導入に備え、32系では2023(令和5)年から改造が始まり、八尾車庫での改造と近畿車輛へ搬出して改造の同時並行で改造が行われている。可動式ホーム柵対応機能追加や、定点停止支援装置としてATO/TASC機器の搭載が行われ、改造された編成は運転台背面の窓が小型化されている。TASC車上子は32600形に設置され、同時に前照灯のLED化も行われている。

行先表示器

登場時

試作車登場時

 試作車登場時、前面の行先表示器は3色LEDであった。

量産車登場時

中間更新改造

 量産車は前面の行先表示器がフルカラーLED化。ただしLED熱量の問題で臨時表示は「赤地白文字」であった。

臨時表示変更

 LED発熱量の問題が解決され、2011(平成23)年11月頃から従来通りの「白地赤文字」の臨時表示に変更となった。

ナンバリング追加

ナンバリング追加

 32系についても2020(令和2)年2月からナンバリング表示が追加され、2月中に全編成が完了となった。その際に号車表示は省略となっている。

登場時 ナンバリング

追加

-現行-
1 大日

Dainichi
大日[T11]

Dainichi
2 都島

Miyakojima
都島[T17]

Miyakojima
3 文の里

Fuminosato
文の里[T29]

Fuminosato
4 喜連瓜破

Kire-Uriwari
喜連瓜破[T33]

Kire-Uriwari
5 八尾南

Yao-minami
八尾南[T36]

Yao-minami
6 守口

Moriguchi
守口[T12]

Moriguchi
7 東梅田

Higashi-Umeda
東梅田[T20]

Higashi-Umeda
8 長原

Nagahara
長原[T35]

Nagahara
9 谷町四丁目

Tanimachi 4-chome
谷町四丁目[T23]

Tanimachi 4-chome
10 谷町九丁目

Tanimachi 9-chome
谷町九丁目[T25]

Tanimachi 9-chome
11 天王寺

Tennoji
天王寺[T27]

Tennoji
12 田辺

Tanabe
田辺[T30]

Tanabe
13 回送

Out of service
回送

Out of service
14 試運転

Out of service
試運転

Out of service
15 臨時

Extra
臨時

Extra

主要諸元表

形式 30600

32600
30100

32100
30800

32800
30300

32300
30200

32200
30900

32900
車種 Tec1 Mb1' T' Mb2 Ma2 Tec2
車体構造 ステンレス ステンレス ステンレス ステンレス ステンレス ステンレス
自重〔t〕 33.0 36.0 25.5 36.0 36.0 33.0
定員(座席定員)〔人〕 130(33) 140(39) 140(39) 140(39) 140(39) 130(33)
車体長〔mm〕 18,900 18,700 18,700 18,700 18,700 18,900
車体幅〔mm〕 2,890 2,880 2,880 2,880 2,880 2,890
車体高〔mm〕 3,745 3,745 3,745 3,745 3,745 3,745
制御方式 IGBT素子VVVFインバータ制御
制御装置
MAP-144-75V196 <三菱IGBT>
主電動機

●:EFO-K60(日立)

  140kw 4個/両

駆動方式

●:WN駆動

  歯車比99:16
連結装置

●:森之宮型密着

○:半永久
低圧電源装置

●:SVM170-4050A
空気圧縮機

●:C-2000L
集電装置

▼:TC-21

  第三軌条上面接触式
制動装置 OEC-4M 電気指令式電磁直通空気ブレーキ

(回生ブレーキ・保安ブレーキ・応荷重装置付)
台車形式 DS-300(FS-578A)
最高速度 70km/h
加速度 2.5km/h/s
減速度 3.5km/h/s(常用最大) 4.5km/h/s(非常)
集電方式 / 電圧 第三軌条集電方式 / 直流750V
走行路線 大阪市高速電気軌道谷町線(大日~八尾南)
配置 大日検車場

車両履歴表

編成表

〔←八尾南 大日→〕

竣工日 製造所 営業運転

開始日
量産車化改造 盲導鈴機能

追 加
可動式ホーム柵対応化

ATO/TASC化改造
備 考
竣工日 改造所 竣工日 改造所
32601-32101=32801-32301-32201-32901 2008.11.05 近車 2009.03.18 2010.03.-- 大日 2013.01
32602-32102=32802-32302-32202-32902 2010.03.23 近車 2010.03.30 2012.12
32603-32103=32803-32303-32203-32903 2010.06.04 近車 2010.06.11 2012.11 2023.07.11 近車
32604-32104=32804-32304-32204-32904 2010.07.16 近車 2010.07.27
32605-32105=32805-32305-32205-32905 2011.09.21 近車 2011.09.30
32606-32106=32806-32306-32206-32906 2011.10.31 近車 2011.11.07
32607-32107=32807-32307-32207-32907 2011.12.13 近車 2011.12.21
32608-32108=32808-32308-32208-32908 2012.10.02 近車 2012.10.11
32609-32109=32809-32309-32209-32909 2012.12.14 近車 2012.12.22 2023.04.-- 八尾
32610-32110=32810-32310-32210-32910 2013.02.12 近車 2013.02.20 2023.09.13 八尾
32611-32111=32811-32311-32211-32911 2013.06.04 近車 2013.06.12 2024.03.-- 八尾
32612-32112=32812-32312-32212-32912 2013.08.12 近車 2013.08.20 八尾
32613-32113=32813-32313-32213-32913 2013.09.17 近車 2013.09.21