車両
2023.11.15更新
新デザイン化、一部加筆、写真を追加しました。

30000系(31系)/2018.02.27-西中島南方

30000系(32系)/2019.09.25-天王寺

各形式の詳細

概 要

32系

 大阪市高速電気軌道(大阪市交通局)30000系車両は2009(平成23)年3月18日から営業運転を開始した車両で、御堂筋線・谷町線に投入された31系・32系の総合的な呼び方である。谷町線で最後の活躍をしていた30系(新30系)を置き換える目的で製造され、新しい大阪市の地下鉄のスタンダード車両とするべく開発された。この系列も新20系と同様に車番が5桁になっており、万の位の3は30000系車両を意味し、千の位は投入号線を表す。例えば御堂筋線であれば正式名称である1号線の1が当てられ、御堂筋線に投入された30000系は31系と呼ぶ。同様に谷町線に投入された30000系は32系と呼ぶ。これは各路線の特性から性能が若干異なってくるものを区別するものである。

30000系VVVFロゴ

 大阪市営地下鉄の次世代車両を開発するにあたっては、これまでの車両基本設計を引き継ぎつつさらなる安全性向上・バリアフリー化・接客サービス向上・省エネルギー化・将来計画を見据えた対応・合理的な保守性の追求といった新時代のニーズに応える車両を追求する必要があった。これを踏まえて30000系設計は、(1)大阪市の地下鉄車両として長年養ってきた安全設計を継承すること、(2)新時代の地下鉄車両として快適性を追求した車両とすること、(3)バリアフリー化をさらに進めた人に優しい車両とすること、(4)国際集客都市にふさわしく外国人にも利用しやすいように案内等に配慮を行うこと、(5)最新の火災対策に準拠したより火災に強い車両であること、(6)最近の重大鉄道事故の教訓を生かした安全設計とし万一事故等が起こった場合でも被害を拡大しないように設備や構造に配慮した車両であること、(7)保守性の良い車両とすること、(8)サービスを維持したかつコストダウンを図った車両とすること、の8項目を基本コンセプトとした。

 外観デザインの検討では従来車両のデザインを検証した上で、これまで培ってきたブランドの継承をテーマとした。大阪市の地下鉄デザインの特徴としては、先頭部の号線カラー及び側面部の号線カラー・先頭ガラス面のブラックフェイス・運転席窓を広くした左右非対称の前面形状といった3点が挙げられ、30000系ではこれらを引き継いで新しい要素を取り入れたデザインとした。将来的に大阪の地下鉄の新しい「顔」となり、先代車両のように愛される車両となるよう願いが込められている。

 車両細部の従来車からの変更点としては、低圧電源装置はこれまで第三軌条方式路線では電動発電機を採用していたが、第三軌条が途切れても低圧電源装置に電源供給ができるような回路として今回初めて静止型インバータ(SIV)を採用した。10系で開発された薄型冷房装置はさらに薄型となり、これまで車内空間確保のために両車端に設置してきたが、やや中央寄りに設置することが可能となって車内空間も確保し車内温度の均一化も図れるようになった。また台車構造を工夫したことによって床面高さを従来車と比べて-40mmとすることができ、ホームとの段差を縮小することができた。その影響で中間車間の連結器も-40mmとなっているが、前頭部の連結器は非常時に従来車と連結をするために高さを下げられず、先頭車は前後の連結器高さが異なっている。

31系

 2008(平成20)年11月に32系試作車となる第01編成が登場した。それから5ヶ月間にわたって中央線と谷町線で各種試験を行い、2009(平成21)年3月15日には中央線のコスモスクエア~森ノ宮間で営業運転開始前の試乗会を開催した(谷町線車両がコスモスクエアまで行くのはこれが初めて)。その3日後の2009(平成21)年3月18日に谷町線で営業運転を開始した。2010(平成22)年からは量産車となる第02編成以降が登場し、それに合わせて第01編成は量産化改造が行われている。2011(平成23)年には御堂筋線にも投入され、こちらは10系・10A系を置き換えた。

 2022(令和4)年には30000系列としてモデルチェンジ車の30000A系が中央線で営業開始した。これで30000系列は合計で358両となり、新20系列・30系列に次ぐ勢力となって、設計時に願いが込められた通り大阪の地下鉄の新しい「顔」となっている。

 現在30000系は、31系10両編成22本の220両が御堂筋線・相互直通運転をしている北急南北線で、32系6両編成13本の78両が谷町線でそれぞれ活躍している。

台 車

 台車はインダイレクト型ボルスタ台車のDS-300(FS-578A)を使用している。軸箱支持装置にモノリンク方式、台車枠と揺れ枕間のけん引力をZリンク方式で伝達する構造を採用し、高速走行性能と曲線通過性能の向上を図った。

集電靴付き動力台車(FS-578MA)

集電靴付き動力台車(FS-578MA)

集電靴付き付随台車(FS-578TA)

集電靴付き付随台車(FS-578TA)

集電靴なし付随台車(FS-578TA)

集電靴なし付随台車(FS-578TA)