車両
2024.03.04更新
台車の写真を変更しました。

新20系/2016.11.27-緑木検車場

新20系/2016.11.27-緑木検車場

各形式の詳細

概 要

25系

 大阪市高速電気軌道(大阪市交通局)新20系車両は、1990(平成2)年4月から営業を開始した車両で、御堂筋線・谷町線・四つ橋線・中央線・千日前線に投入された21系・22系・23系・24系・25系の総合的な呼び方である。開発当時、日々増してくる乗客のニーズが高度化・多様化しており、それに応えることが可能である車両が望まれていた。1984(昭和59)~1989(平成元)年にかけて製造された20系・20系30番台を乗客のニーズに合わせて大幅にモデルチェンジし、乗客のニーズに応えたのが新20系である。主なモデルチェンジは、車体構造をアルミ合金から軽量ステンレスへの変更、車体側面に行先表示装置の設置、非常通報装置のインターホン化、側面窓の下降窓化、制御装置では20系の1C2M制御から1C4M制御への変更などがあげられる。

 この系列から車番が5桁になっている。万の位の「2」は20系車両を意味し、千の位は投入号線を表す。例えば御堂筋線であれば正式名称である1号線の「1」が当てられ、御堂筋線に投入された新20系は21系と呼ぶ。同様に谷町線・四つ橋線・中央線・千日前線に投入された新20系は、それぞれ22系・23系・24系・25系と呼ぶ。これは各路線の特性から性能が若干異なってくるものを区別するものである。21系は最終10両編成、22系・23系・24系・25系は最終8両編成まで増結できる設計となっている。

新20系初期車

 1990(平成2)年4月より、谷町線に22系が6両編成7本42両、四つ橋線に23系が5両編成7本35両の初期車が投入された。この初期車は正面の車番が量産車と比べて大きいことが特徴である。1991(平成3)年以降に登場した新20系は量産車で、初期車では大きかった正面の車番が小さくなった。1991(平成3)年4月には御堂筋線に21系、千日前線に25系が、1991(平成3)年6月には中央線に24系が投入され、第三軌条集電方式の5路線に新20系が登場した。この投入は、四つ橋線では初の冷房車、千日前線では初の冷房車・新型車両となった。その後も新造が続けられ1996(平成8)年10月には合計550両となり、30系に代わる大阪市営地下鉄の顔となった。これは車両冷房率100%を目指し、非冷房車であった30系・50系の置き換えとして冷房車である新20系を大量投入したものである。1998(平成10)年3月には、10系リニューアル改造に伴う車両不足分を補うため、21系の10両編成1本10両が投入された。これで御堂筋線21系は10両編成18本180両、谷町線22系は6両編成19本114両、四つ橋線23系は6両編成22本132両、中央線24系は6両編成11本66両、千日前線25系は4両編成17本68両の、合計560両となった。さらに2005(平成17)年7月には、大阪港トランスポートシステムのOTS系6両編成2本12両を24系に編入して24系50番台とし、新20系は合計572両となった。

転属回送中の光景

 2004(平成16)年からは、近鉄けいはんな線開業に伴い、谷町線20系30番台の6両編成9本54本を中央線へ、中央線24系・24系50番台の6両編成9本54両を谷町線へ、それぞれ転属することとなった。これが新20系では初の転属となった。中央線から谷町線へ転属した24系は、車番重複を避けるために22系50番台とした。22系50番台の第62・63編成は元OTS車両で、OTS系→24系50番台→22系50番台と2度の形式変更を行っている。2014(平成26)年には、四つ橋線で余剰となっていた6両編成1本を中央線に転属し、20系第01編成が置き換えた。2018(平成30)年には、四つ橋線の車両改造予備車確保などの理由で22系1本が四つ橋線に転属している。第三軌条集電方式の各路線で活躍する新20系だが、かつての50系・30系がそうであったように将来大規模な転属が発生する可能性も十分ある。

 製造から20年以上経過し、車内設備や車両機器に老朽化が目立ってきたことから、2010(平成22)年から中間更新改造が開始されている。

 現在、21系10両編成18本の180両が御堂筋線・相互直通運転をしている北急南北線で、22系6両編成30本の180両が谷町線で、23系6両編成23本の138両が四つ橋線で、25系4両編成17本の68両が千日前線でそれぞれ活躍している。

外 観

新20系前頭部

 車体は機械的特性・耐食性に優れた高抗張力ステンレス鋼が使用され、板厚が薄くなり、アルミ車に匹敵する軽量化が図られた軽量ステンレスを使用している。ステンレスは30系以来である。

 車体側面は、ビートラインが上部に2本・下部に3本入っている。また上部には新造時より行先表示装置が設置されている。帯は新20系から白線が入った車体全長のもの、いわゆる新帯となっており、新20系の新帯は新30系や20系と比べて細いものとなっている。

 車体前頭部は、腰部に丸みを帯びた流線形で、貫通口を車掌室いっぱいに寄せて運転台正面窓を広くとった非対称形となっている。周囲にはステンレス製の縁飾りが取り付けられており、そこにLED式の尾灯が埋め込まれた珍しいデザインとなった。腰部には横縞模様の飾り板が取り付けられ、その中央に前照灯が設置されている。方向幕は上部中央に、車番は上部右にそれぞれ設置されている。また新20系VVVF車を示すVVVFロゴマークが、上部左と尾灯部側面に取り付けられている。誘導無線装置のアンテナは、従来の先頭車前面上下から、先頭車妻面両側に設置となっている。

尾灯部側面VVVFロゴ

尾灯部側面VVVFロゴ

前面VVVFロゴ

前面VVVFロゴ

誘導無線装置

誘導無線装置

車 内

新20系車内

 車内は、10系第17~26編成(第17~23編成の1700形は除く)・20系にある程度準じているが、車内蛍光灯には50系以来のグローブが設置されている。座席には表地が薄茶色のコイルバネ式を使用したモケット張りで、区分柄が入り、両端には仕切りが設けられた。扉間は6人掛け、車端部は3人掛けである。つり革は座席部のみで、扉部には設置されていない。

 新20系は、車内床敷物の配色が竣工年で異なっている。1990(平成2)年~1994(平成6)年竣工分は茶色・クリーム色の2色、1995(平成7)年~1998(平成10)年竣工分は茶色の1色となった。また、元OTS系である22系50番台の第62・63編成は薄茶色の1色となっている。なお、21系の10両編成化・23系の6両編成化の際の増結用の新造車は、それぞれ増結する編成の色に合わせている。さらに扉の窓も違いがあり、1995(平成7)年竣工分の21系と1996(平成8)年竣工分の22系・23系より、従来の1枚ガラスから複層ガラスに変更されている。なお、21系の10両編成化・23系の6両編成化の際の増結用の新造車は、増結する編成が1枚ガラスであっても複層ガラスとなっている。

1990(平成2)~1994(平成6)年竣工分の床敷物

1990(平成2)~1994(平成06)年竣工分の床敷物

1995(平成7)~1996(平成10)年竣工分の床敷物

1995(平成7)~1996(平成10)年竣工分の床敷物

新20系座席

新20系座席

新20系優先座席

新20系優先座席

新20系座席柄変更後

新20系座席柄変更後

新20系優先座席柄変更後

新20系優先座席柄変更後

新20系車内案内表示装置(前期型)

新20系車内案内表示装置(前期型)

新20系車内案内表示装置(中期型)

新20系車内案内表示装置(中期型)

新20系車内案内表示装置(後期型)

新20系車内案内表示装置(後期型)

新20系路線案内図

新20系路線案内図

台 車

 台車は20系と同じで、軸バネ式・ダイヤフラム形エヤサスDS-20(FS-386A)を使用している。台車枠はDS-10とDS-20は互換性があるが、20系の台車枠に比べ新20系の台車枠は角が丸みを帯びている。

集電装置付き

集電装置付き

集電装置なし

集電装置なし

(参考)20系台車

(参考)20系台車

車両番号

 新20系より車番が5桁になっており、投入路線別に分けられている。ただし、法規上の正式な車番は投入路線を示す4桁目を省いた4桁となおり、20系と同じとなっている。

新20系車両番号解説

転 属

2004(平成16)年~2006(平成18)年

 新20系列初の転属は2006(平成18)年3月27日の近鉄けいはんな線開業に伴うものであった。開業準備のため中央線車両のワンマン・高速化改造を行う必要があった。車両重量や機器更新などの検討の結果、谷町線20系30番台を中央線24系・24系50番台(初代)を入替えることが決まった。車両番号が重複することとから、転属した編成は22系50番台とした。

中央線(転属前) 谷町線(転属後)
24605-24105=24805-24305-24205-24905 22655-22155=22855-22355-22255-22955
24606-24106=24806-24306-24206-24906 22656-22156=22856-22356-22256-22956
24607-24107=24807-24307-24207-24907 22657-22157=22857-22357-22257-22957
24608-24108=24808-24308-24208-24908 22658-22158=22858-22358-22258-22958
24609-24109=24809-24309-24209-24909 22659-22159=22859-22359-22259-22959
24610-24110=24810-24310-24210-24910 22660-22160=22860-22360-22260-22960
24611-24111=24811-24311-24211-24911 22661-22161=22861-22361-22261-22961
651-151=851-351-251-951 22662-22162=22862-22362-22262-22962
652-152=852-352-252-952 22663-22163=22863-22363-22263-22963

2014(平成26)年

 製造から約30年が経過し老朽化が目立ってきた20系第01編成を、四つ橋線で余剰となっていた23系1本で置き換えることになった。

四つ橋線(転属前) 中央線(転属後)
23606-23106=23806-23306-23206-23906 24656-24156=24856-24356-24256-24956

2018(平成30)年

 定期検査業務(重要部検査・全般検査)を緑木車両工場に統合し、業務工程の見直しを行ったところ、谷町線で車両運用に1列車の余剰が発生した。余剰となった1列車を、四つ橋線車両の中間更新改造による予備車確保の位置づけで転属させることとなった。

谷町線(転属前) 四つ橋線(転属後)
22606-22106=22806-22306-22206-22906 23656-23156=23856-23356-23256-23956

2023(令和5)年~2024(令和6)年

 中央線への30000A系・400系投入に伴い24系全編成が他路線へ転属することになった。第56編成は四つ橋線に出戻りとなり元車号に復帰した。

中央線(転属前) 谷町線(転属後)
24601-24101=24801-24301-24201-24901 22651-22151=22851-22351-22251-22951
24602-24102=24802-24302-24202-24902 22652-22152=22852-22352-22252-22952
24603-24103=24803-24303-24203-24903 22653-22153=22853-22353-22253-22953
24604-24104=24804-24304-24204-24904 22654-22154=22854-22354-22254-22954

中央線(転属前) 四つ橋線(転属後)
24656-24156=24856-24356-24256-24956 23606-23106=23806-23306-23206-23906